びー旅ドットコム 第29回 アンコールワット個人旅行
アンコール遺跡群を個人で格安に回る方法
現地宿に現地ツアー情報 カンボジア物価
2017年2月1日よりアンコールワット入場料値上げ。
1日券37US$、3日券62US$、1週間券72US$。
2017年2月1日以前は1日20US$、3日40US$、1週間60US$だった。
カンボジアビザ値上げ。2014年10月より30日観光ビザ(ビザT)30ドル、業務ビザ(ビザE)35ドルに。観光ビザはシングルTのほかに、T1(1年有効)T2
(2年有効)T3(3年有効)のマルチができた。マルチは期限内何回でも入国できるが1回の入国は30日まで。
カンボジア観光ビザTは空港や国境で30US$で取れるので必ずしも事前取得の必要はない。東京赤坂のカンボジア大使館で自力申請する場合の料金 T-
4,000円、T1- 5,200円、T2- 7,700円、T3- 10,200円。eビザはTのみで30US$にシステム処理料7US$とられて37US$。
アンコールワットとはカンボジア、シェムリアップ市中心から北に7kmにあるヒンズー教寺院遺跡。サンスクリット語でアンコールは王都、クメール語でワットは寺院を意味する。周辺にアンコール遺跡群が多数あるがアンコールワットはその中でも最も規模が大きく遺跡のテンションも高い。
この寺院は12世紀前半アンコール王朝のスーリヤヴァルマン2世によって30年以上かけて建設される。日本では平安時代後期から鎌倉時代最初期にあたる。
写真右はアンコールワット第3回廊への階段。第2回廊から最上段の第3回廊ヘは13メートルの急勾配の石段になっている。以前はここで足を滑らせて転落する観光客が後を絶たなかったが、今は写真のように滑らない観光客用特設の階段ができた。
日本から近くて簡単に安く行けて感激できる遺跡の筆頭に来るのはなんといってもアンコールワットだ。最近中国人団体ツアーが増え、テーマパーク化して、かつてあった遠い過去に滅び去った遺跡の切なさは薄れてきたが、それでも十分な衝撃のある遺跡だ。私はかつて遺跡には何の興味もなかったがアンコールワットを訪れてから遺跡に対する見方が変わった。 カンボジアは現地物価が安い。遺跡観光以外にも個人で行くと味のある体験をたくさんできるおいしい渡航先でもある。シェムリアップに限れば治安もよく個人旅行はしやすい。シェムリアップのインターネットやATM環境は日本と変わらない。バンコクやホーチミンからの格安現地料金の現地ツアーやツアーバスもたくさん出ている。 |
世界三大仏教遺跡はインドネシアのボロブドゥール、ミャンマーのバガン、そしてなぜかヒンズー教遺跡のアンコールワットがその一角を占めている。 私の個人の感想でいえば、この3つの中ではアンコールワットが最もインパクトがあり観光地として突出している。それに加えてこの中ではアンコールワットが距離でも金銭的にも旅のワザ的にも最も訪問しやすい。 私は初めてアンコールワットを訪問した後、中米最大のマヤ遺跡のティカール遺跡(グアテマラ)に行ったが、その時若干がっかりしたのをはっきりと覚えている。行く順番としてはティカールに先に行くべきだった。 |
カンボジアの通貨はリエル。米ドルも使え地元屋台でも1$=4000リエルとして受け取ってもらえる。おつりはリエルで戻ってくる。ATMでは日本のクレジットカードが使える。出てくるのは米ドル。物価が安いので100US$おろせば気合の入った旅行者なら宿代、移動代、観光代、食事代込みで1週間暮らせる。
言葉はクメール語(カンボジア語)。英語は基本通じない。ただシェムリアップは英語を話す現地の方の密度がほかのエリアよりは高い。また現地のぼったくりマンは皆英語が堪能だということは知っておいたほうがいい。
アンコールワット観光の拠点になる町はシェムリアップ。ホテルもゲストハウスも供給過剰状態で多数あり、予約なしで現地に入ってもどこかの宿には必ず宿泊できる。
市内から8㎞ほどのところにシェムリアップ国際空港がある。ここへの日本からの直行便はない。バンコクやホーチミン、ハノイで乗り継ぐのが一般的。シンガポール、クアラルンプールからもフライトあり。中国東方航空、ベトナムエアなどが格安便を飛ばす。2014年9月からエアアジアが成田からドンムアンに直行で飛ぶようになったのでバンコクからフライトや陸路で入りやすくなった。写真右上はアンコール遺跡群のプリアカン。
面積 | 181,035平方km | シェムリアップのチキンバーベキュー屋台 |
人口 | 15,135,000人(2013年) | |
言語 | クメール語(カンボジア語) | |
時差 | 日本-2時間 (UTC +7)タイと同じ | |
首都 | プノンペン | |
電源 | Aタイプ日本と同じ。電圧220V 周波数50Hz 220V対応されているパソコンやデジカメの充電に変圧器不要。 | |
季節 | 11~3月乾季、4~10月雨季 雨季は「延々曇って土砂降り」タイプ。雨季の訪問はできるだけ避けたほうがいい。乾季に行けばほぼ連日快晴。 |
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電話 | 国番号 855 | |
ビザ | 必須。日本でもとれるが、主要な国境や空港でアライバルビザが取れる。観光ビザ(ビザT)30ドル。eビザ37ドル。 | |
シェムリアップツーリストポリス 012-402424(24時間対応) 在カンボジア日本大使館 194 Preah Norodom Blvd, Phnom Penh, +855 23 217 161 |
個人でアンコールワットに快適に旅するにはいくつか知っておいたほうがいいポイントがある。以下その筆頭に来る3点。
1.荷物を少なくする
2.所持金を少なくする
3.雨季(4月~10月)を避ける
1.荷物を少なくする
荷物はできるだけ少なく、7kg以内にまとめて、リュックサックタイプのかばんにまとめる。キャスター付のかばんはゴロゴロと引けるような道がカンボジアには少ないので避けたほうがいい。当日に宿を探す場合はそれらの荷物を持って30分くらい徒歩で放浪する場合もある。大きなスーツケースなどを持っていれば行動範囲にはかなり制約を受けるのでやはり避けるべき。また荷物を小さくまとめておくと飛行機に乗った時も、すべての荷物を機内に持ち込めるので、チェックイン時や到着時に長蛇の列に並んだり、荷物が出てくるのを待つ必要もなくなる。
2.所持金を少なくする
アンコールワットに日本から個人旅行する場合、1週間程度の滞在なら所持金は多くても日本円総額で3~4万円。気合の入った節約旅行者でビザ代、宿代、観光代込み総額で2万円くらいすます。所持する現金が少ないとトラブルがあったときの被害が少ない。また現地にはATMがたくさんあって「キャッシング枠を確保したビザかマスター提携クレジットカード」を持っていればいつでも日本の自分の口座から現地通貨を引き出せる。カンボジアの場合出てくるのはリエルではなく米ドル。実録詳細はこちらへ。
カンボジア国境情報 | |
●カンボジア・タイ国境 1.Poipet - Ban Klong Leuk ポイペト - クロンレウク(アランヤプラテート) 2.Cham Yeam - Hat Lek チャムヤム(ココン) - ハートレック 3.O'smach - Chong Chorm オスマック - チョンチョム 4.Choam - Sangam(Chong Sa Ngam) チョアム(アンロンベン) - サンガム 5.Prom - Ban Pakard プロム(パイリン) - バンパッカード 6.Dong - Ban Lem ドン - バンレム ●カンボジア・ラオス国境 1.Dongkalaw(Dom Kralor) - Voeung Kam ドンカラウ(ドンクラロー) - ブンカム |
●カンボジア・ベトナム国境 1.Bavet - Mok Bai バベット - モクバイ 2.Kaam Samnor - Yin Soeung(Chau Doc) カームサムノア - インセウン(チャウドック) 3.Phnom Den - Tin Bienh プノンデン - ティンビエン 4.Trapaing Phlong - Xamat チャパインプロン - サーマット 5.Trapaing Sre - Bonue チャパインスレ - ボヌエ 6.Oyadav - Lethanh オヤダヴ - レタイン 7.Banteay Chakrei - Dinh Ba バンテアイチャクレイ - ディンバー 8.Preak Chak - Ha Tieng プレアチャック - ハーティエン 9.Samrong - Mi Quy Tei サムロン - ミークイテイ |
現金はすべてまとめて持つより、2ヵ所以上に分けて持つ。財布を落としたりすられたりした時に、現金が全くないと身動きが取れなくなるので、そういう時に備えて財布以外にバックパックの中に手持ちの現金の3分の1から半分位分けて持つ。クレジットカード利用はATMのみで実際の支払いには使わないので、財布に入れるよりバックパックにいざという時のために控えておく。 また私は出歩く場合には、所持金のほとんどを宿において小銭を持って出かけることが多い。なぜそれができるかというと所持金が「なくしてもいい金額」だからだ。旅先でのお金の管理に関しては信頼できる宿を見つけることが大事だが、そういうことは実際泊まってみないとわからない。 |
なのでもともと持っている金額を少なくしておけば、なくなったとしても深刻なダメージにもならない。全財産を安宿に放置して気軽に遺跡めぐりもできる。大金を持ってびくびくしていると、それだけでカモを待つハイエナ君のアンテナに引っかかってしまう。
2022年5月9日現在1US$ = 4,128.40 リエル 、地元屋台でも1US$が4000リエルとして受け取ってもらえるので、米ドルがあれば現地通貨のリエルに両替する必要はあまりない。両替を全くしなくても1ドル札を使っているうちにおつりのリエル札が自然にたまっていく。市場で寄ってくる物乞いには1$でなく100リエル(写真右、約2.7円)を渡す。手元に100リエル札がない場合は物乞いには取り合わないほうがいい。
出国前日本の空港で両替する場合は、リエルに両替はできないので米ドルに両替する。1週間程度の滞在で現地ATM利用するなら空港での両替は遺跡入場料分のUS$+100US$で十分。両替の時は決して100US$札で受け取ってはいけない。20$札以上の紙幣は地元屋台で受け取ってもらえないので1$札を混ぜた小額紙幣にしてもらう。
私が100US$替える場合、20$3枚、10$2枚、1$20枚を成田や羽田で両替し、現地に入った翌朝レートのいい両替屋で20$分だけリエルに両替する。シェムリアップの銀行や両替屋では日本円からドルにもリエルにも両替できる。ちなみにミャンマーでは屋台でドル札使えず、大きい額の紙幣の両替レートがよくなるので、逆に小額紙幣でなく新札の100US$札で持って行ったほうがいい。
3.雨季(4月~10月)を避ける
カンボジアでは11~3月乾季、4~10月雨季。この地域の雨季は「延々曇って土砂降り」タイプ。乾季に行けば連日快晴。
「雨季でも夕方スコールがあるくらい」はハワイやグアムのような洋上の島の雨季で、カンボジアの場合には全く当てはまらない。大陸にあるカンボジアの雨季は日によって日本の梅雨のように1日中雨が降り続く。雨季に晴れ間もなくはないが短時間でほぼ連日曇りがち。雨は降らなくとも延々曇ってたまに土砂降りという感じ。「夏休みにアンコールワット」は現地の事情を知らない要領の悪い旅人のすること。
ツアー催行者の「雨季でも大丈夫」の営業トークに丸め込まれるのも自由だが、雨季に行って遺跡のテンションが落ちるのは避けようのない事実だ。特に空が曇っていると露光不足で上のように遺跡の写真は真っ黒になるのが痛い。海外の行き先の選択は無数にあるので、どうしても雨季のカンボジアに行かねばならない事情がある以外はその時期は避けた方が無難。遺跡観光に天気は大切だと私は思う。
2010年にはいってポイペト~シェムリアップ間の道路の舗装が完成した。残念なことにここの名物だった車内でロデオ大会が延々続く悪路はなくなった。11年5月チェックのカオサンバスシェムリアップ行が290B(820円)~。10年5月の逆方向シェム発カオサン行バスは8$(256B。720円)、所要9時間でカオサンには午後18時、明るいうちに到着。
2013年2月からはシェムリアップ直行国際バスが走っている。ポイペトでカンボジア側のバスに乗換えずに同じバスでシェムリアップまで行く。バンコクモーチットバスターミナル発のタイトランスポート社のバス。料金750バーツ。モーチット朝9時発、シェリムアップのシバタ通り、ダラゲストハウス前午後15時着。モーチットバス実録はこちら。
また2014年年末までにナコンチャイエア Nakhonchai Air (エアとついているがバス会社)がモーチットからシェムリアップ、プノンペンへの国際バスを運行することを発表している。2013年10月からドンムアンからシェムリアップへエアアジアが就航し、バンコクからシェムリアップへの選択肢は増えた。最安はいまだカオサンバス。写真右上はもう一つのカンボジアの世界遺産プレアヴィヒア遺跡の断崖絶壁。
アンコールワットへのバンコクからの陸路移動する場合、旅行者側に必要なものは日本からトータルで6日以上の旅行日数。
この6日の日数は遺跡観光に3日あてた場合。遺跡観光1日でいいのなら4日以上。バンコクからシェムリアップの距離は360km。バンコク~プーケット間(700Km)の半分、日本で言えば東京~大阪間(400Km)よりもずっと短い。
舗装が完成したので以前のように時間はかからなくなったが、それでも最安のカオサンバスを利用する場合、9時間から10時間はかかると見ておいたほうがいい。国境でのもたつきや、バックマージンレストランでの時間つぶしは今でも健在。朝8時にカオサンをでて午後6時に到着。
なので実質移動に丸1日かけることになる。カオサン宿泊しての手配に1日、遺跡観光に3日、往復移動に2日と考えると最低6日、余白1日とれば7日。陸路移動国境越えは舗装完成したとはいえ、効率の悪い時間のかかる移動方法だ。時間がない場合には陸路移動はむいていない。無理にバンコクからバスなど使わずにシェムリアップへエアで直行した方がいい。ぼったくりのさかんな土地柄「時間がないのに陸路移動?」という矛盾が足元を見られる元凶になる。ぼられる金額は小額だがその過程で不快な思いをするのが難。