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上野動物園 赤ちゃんパンダの死
上野動物園記者会見で感じた疑問
名前をつけられることもなく死んだ赤ちゃんパンダ追悼コラム
成都パンダ基地のパンダ
◆上野動物園のパンダの赤ちゃんの死 2012年7月21日(土) 前へ 次へ |
先日7月11日上野動物園で生まれたばかりの赤ちゃんパンダが死んだ。私はその時の上野動物園の赤ちゃんパンダの扱いには間違いがあったと思う。いったん保育器に入れた赤ちゃんパンダは母親の元に戻すべきではなかった。
125グラムの子パンダが127キロの母パンダにつぶされて死ぬ、同じようなケースはこれまでも中国で多くの報告がある。自然界でない動物園という環境での初産で、過敏になっている母親に人間の臭いがついた赤ちゃんを戻すリスクにも配慮すべきだった。 |
成都パンダ基地 生後1ヶ月1kgほどのパンダ |
「10日の夕方の状況が良好だった。小さく弱い動物で、保育器で面倒をみるといっても、母親のようにはできない。人間が子供の様子を見ながら哺乳瓶でやっても、母親のようにはできない。母親が一番面倒をよく見るので、間違いではない」
そして「シンシンの過失ではなく事故だと考えているのか」との質問に
「事故だと考えている」
産経新聞 7月16日(月) より抜粋。この記事に違和感を感じたので一言。 |
保育器の弱弱しい状態から数ヶ月で見違えるようにやんちゃで元気になるパンダ
成都パンダ基地情報 九寨溝情報 桂林情報
保育器の赤ちゃんパンダ 成都パンダ基地で |
事故かどうか云々以前に、赤ちゃんパンダの死を母パンダのシンシンの過失にすりかえるべきではない。過失があるとすれば上野動物園の過失だ。
母親のようにできないを繰り返すができている前例を参考にするべきではなかったのか。こういういいわけ並べている時点でテレビカメラの前で泣いているのも保身のための演技だったのかと疑問がわく。過失がないといっている時点で死なせてしまった反省も感じない。
動物園の対応に100%過失があったとは言わないが、赤ちゃんパンダの死はよくある事故でしかたがない、上野動物園の対応には全く間違いがなかったと言いきられてしまうと疑問は感じる。 |
たった45分で細菌疾病の誤嚥性肺炎で死ぬというのも説得力がない。誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎だ。状況的につぶされた時に気道に飲んだ乳が入り込んだとみるのが自然ではないのか。また初産の場合は1週間で6~7割死ぬというが、そうならないノウハウがあるから成都や臥龍では繁殖に成功しているのだ。この辺の動物園側の理由を聞けば聞くほど苦しいいいわけに聞こえる。 |
記者会見で「母親の元に戻すという判断は正しかったのかどうか」と問われた副園長は、「正しかったと思っている」
もし上野動物園に過失があったと認めれば全国民を敵に回す。事故としておけば誰も責任取ることはない。そのうちほとぼりも冷め忘れ去られる。
赤ちゃんパンダが母親につぶされて死ぬ例はこれまでも報告されている。動物園側も素人集団ではないのだからこのことは当然知っているはずだ。なのに「保育器から母親の元に戻せ」と誰かが決めて実行したのだ。そしてそれが赤ちゃんパンダの死を招く結果になってしまった。 |
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仮に対応が間違いがないというなら数年後また同じ状況になったら125グラムの子パンダを127キロの母パンダのもとに戻せるのか?また同様に育児に興味の薄れた母親に寝返りでつぶされるとわかっているのに。 |
一見かわいそうに見えるこの状況だが、育児に興味のなくなった母親に戻すとつぶされるので、あえて母親から離してつぶれない大きさになるまで人間が面倒を見る 125gは写真上のパンダの半分以下
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つぶされる可能性が高いので、成都熊猫基地ではこういう場合、保育器でつぶされない大きさになるまで人間が育てる。
「赤ちゃんはお母さんのもとが一番いい」という一見心温まる見解が当てはまるのは母の寝返りで赤ん坊がつぶれない人間の場合だ。いくら24時間態勢のカメラの監視でも寝返りでつぶれる赤ちゃんは救えない。
自分の子供に人間の臭いがつくと猫でも育児放棄することがある。人間側の勝手な判断で子供に興味がなくなる状況作っておいて、また勝手な判断でつぶされる環境に子供を追いやっておいて過失はなかったとはあまりに無責任ではないのか。そういう状況を作ったならせめてつぶれなくなる大きさになるまで保育器で面倒見るべきだった。成都や臥龍、雅安でそうしているように。 |
上野動物園側は人手がなくて24時間保育器に貼り付けなかったと言い訳しているが、パンダの赤ちゃんは無理やり人手を割いてでも24時間交代制で保育器に張り付く価値はないのだろうか。注意が必要なのは母親の寝返りでつぶされなくなる大きさになるまでなのに。実績のある和歌山から応援を呼ぶ選択もあったはずだ。
育児に興味がなくっていたことは6日の時点で確認されていた。少なくとも保育器の中ならつぶされることはなかったのだ。 |
パンダは生後1ヶ月たって子犬くらいの大きさになると生きたぬいぐるみのようにかわいい。理由はどうあれそうならずに痛々しい未熟児状態で死んだパンダは悲しい。私は決して今回の件で誰かが責任を取れといっているのではない。その機会がまた訪れるのかはわからないが、同じことをもう繰り返して欲しくないだけだ。 |
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成都パンダ基地
はみ出し情報 |
- 先日なくなったパンダの赤ちゃんについて上野動物園側の言い分に違和感を感じたので、今回は旅情報には関係のないコラムになってしまった。
- 上野動物園以外では、和歌山良浜のアドベンチャーワールドではこれまでに12頭のパンダの繁殖実績がある。中国以外では最多。
- 上野のパンダのレンタル料、2頭で年90万ドル、7200万円。私が成都で撮ったパンダとツーショット写真6000円は安かったのかもしれない。
- 臥龍のパンダは2011年5月12日四川地震の影響で雅安碧峰峡パンダ研究基地に移動している。2014年に臥龍パンダ基地再開予定。
- イスラム圏では7月からラマダン(Puasa)が始まる。今年は7月20日~8月18日。断食明け8月19日~22日はインドネシアでは連休となり混雑するので注意。イスラム教徒の方々はラマダン期間中は子供(10歳以上)でも日中に水すら飲まない。
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成都空港
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