エアアジアはなぜ安いのかを利用者目線で解説
格安料金で安全性に問題はないのか
その料金の裏側にある本当のところ
LCCの利用には搭乗側にも最低限自分のことは自分でやる当たり前のことが要求される。たとえば払い戻しやフライト変更や荷物に関する決まりごとを了承した上での自力ネット予約など。向かない人には向かないので自分に向いているかどうかの事前の判断も重要。
エアアジアX国際線予約 エアアジアジャパン予約 エアアジアプロモ席確保術●18年4月13日 エアアジアジャパン予約解説2018
●17年5月10日 エアアジアバリ島直行便
●17年2月4日 エアアジアホノルル線
●16年5月13日 LCC太平洋路線近未来予想図
●14年05月15日 KLIA2
●13年07月19日 BIG 無料航空券確保実録
●13年07月05日 ANAとエアアジア提携解消
●13年04月17日 BIG エアアジア特典航空券
●13年04月08日 エアアジアプロモーション2014
●2012年 10月24日 エアアジア欠航について
●エアアジアでアフリカ アフリカンインパクト
●エアアジアフライスルー ●ドンムアン バンコクLCCT
◆エアアジア概略 エアアジア(Air Asia)とはマレーシアの格安航空会社(LCC : Low Cost Carrier)。設立は1993年。マレーシアのエアアジア(AK)の他にタイエアアジア(FD)、インドネシアエアアジア(QZ)、フィリピンエアアジア(Z2)、エアアジアインディア(I5)、インドネシアエアアジアエクストラ(XT)、長距離国際線のエアアジアX(D7)、タイエアアジアX(XJ)の8つがある。 今までエアアジアの拠点空港はLCCT(ローコストキャリアターミナル)だったがその拠点が2014年5月9日KLIA2に完全移転した。 |
◆販売方法の無駄を省きコスト削減
エアアジアの予約は利用者自身のオンライン予約でクレジットカード払いが原則。支払いを利用客がネットで自力手配することで販売コストを削減している。
大手では航空会社や旅行会社のスタッフがやるチケット購入に必要なオンラインでの予約を、利用客に自宅のパソコンですべてやってもらう。フライト前14日を過ぎれば自宅のパソコンでウェブチェックインができ、搭乗券も自宅でプリントできる。
そして自宅でプリントしたそのA4コピー用紙の搭乗券を空港へ持参、空港のカウンターでパスポートとこの搭乗券を見せて搭乗する。エアアジアの販売システムはeチケット本来のメリットを効率よく利用して、搭乗までの手続きの無駄を省いているのだ。
ただなぜか羽田だけでは、オンラインチェックインが済んで搭乗券をプリントして預け荷物がない場合でも、いまだにカウンター前の長蛇の列に並ばされ厚紙搭乗券を渡される。この辺日本は遅れている。反対側のLCCTでは預け荷物がなければプリントA4搭乗券のチェック押印のみで搭乗ゲートへ行ける。
LCCの安い料金に対してよくある質問。そんなに安く飛んで安全性に問題はないの?
また一方でIATA運賃でフライト利用する方々、もしくはこれまでIATA運賃の恩恵を受けてきた方々はLCCに「安かろう悪かろう」を望む。しかし残念ながら統計上大手航空会社とLCCの事故率には差がない。
エアアジアは1993年の設立以来2014年末まで大きな事故は起こしていなかったが、2022年5月9日、インドネシアエアアジアが乗客乗員162人を乗せてスラバヤからシンガポールに向かう途中、カリマンタン島沖で墜落事故を起こす。原因は解明中だが天候不順の可能性が高いとのこと。
2010年以前はネット予約の最後に発行されるアイテネラリ(予約番号の入ったフライト日程表)をプリントして、それをカウンターで提示してコンビニレシート搭乗券(羽田のみ厚紙搭乗券)をもらっていた。しかし2011年以降、自宅でウェブチェックインができ、搭乗券(ボーディングパス)が自宅でプリントできるようになった。バンコクなら羽田~KL、KL~バンコクの往復分4枚。アイテネラリは保険加入や事前予約でスカイバス(市内までのバスでアイテネラリで支払い済チェックをする)を予約した時には加入や支払いの証明として必要なのでプリントしておく。機内食予約は搭乗券にも予約内容が記載されている。
さらにシステム上の大きなコスト削減のポイント。それは「運賃払い戻しを不可」としたこと。エアアジアで予約した場合、乗り遅れて予定の便を逃すと支払った航空運賃は戻ってこない。この類のキャンセルにかかるコストを「払い戻し不可」としたことで削減した。乗り遅れの場合は原則新しいチケット買いなおしとなる。この条件はネット予約の際の同意事項の中にも明記されている。
一方、数倍払う他社便ではキャンセルに対する対応は違う。しかしこれは違った見方をすると、キャンセルしない乗客は一部キャンセル客のキャンセルコストを支払わされていると見れないこともない。自分で決めた事前の約束事をきちんと守る旅行者が守れない旅行者の分を負担する構図はやはりおかしい。エアアジアはこの点をバサッと一刀両断しての「払い戻し不可」対応。そこで削減されたコストを航空運賃に反映させている。
キャンセル対応がないので大手のように24時間に区切ってオンラインチェックインをネット解禁する意味がない。フライト前14日をきるとオンラインチェックインができ、搭乗券のプリントが自宅でできる。またフライト48時間前になるまでのフライトの変更はできるので大手のFIXよりまし。ただ国際線の場合、手数料が5500円と高いので変更はできるだけしないほうがいい。
上の画像は2012年4月予約の12年5月~6月フライトの羽田発KL乗継デンパサール行予約の明細。燃油込みの往復総額でこれにプロセッシングフィーというクレジットカード手数料600円が加算され総額37,700円。
クアラルンプールKLIA2 エアアジアチェックインカウンター
◆機内サービスの有料化
機内食や飲み物が有料、預け荷物が有料。優先搭乗や座席指定有料。毛布有料。機内映画タブレット有料。右の画像の例で見ると15kgの預け荷物2500円、機内食900円(12年5月以降500円)など。これはネット事前割引料金で当日だとさらに高くなる。
12年4月羽田線にエアアジアインシュアという保険も登場した。エアアジアバッグやエアアジア熊などのエアアジアグッズの機内販売もある。クルーの人件費安く抑えて機内販売の売り上げをクルーに回す仕組みになっている。
アジア線での格安フライトの背景にはマクドナルドのアルバイトの時給が100円という貨幣価値の違う国での安い人件費があることは否めない。飛行訓練や安全訓練もそういう国でやったほうがコストはかからない。統計上レガシーキャリアとLCCの事故率に差がないことがいっそうIATA運賃の説得力をなくしている。
機内サービスは必要な客にだけという姿勢。ただこれらを利用しまくったとしてもトータルは安い。有料がいやなら乗って文句を言うのでなく最初から5~10倍払って大手に乗ればいいだけだ。成田バンコク往復エコノミーIATA正規運賃、平日342,000円、週末370,000円。燃油税別。
当初LCCには機内誌がなく、マイレージサービスもないとのことだったが、あまりの勢いに2012年からエアアジアには機内誌(写真左)が出現している。また同じく12年に入ってBIG
Pointという特典航空券交換可能な独自ポイントサービス(入会料10リンギ)も始めている。
以下利用客の購入手続きにはあまり関係ないエアアジア側のコスト削減の裏方事情。
◆運行コスト削減
機材統一して維持費を抑える。発着料の安い第2空港利用し、コストのかからない体育館のようなLCC専用ターミナルを利用する。エアアジアジャパン国内線の例のように1日12フライトを2機の機材でやりくりするなど機材使用回転率を上げる。物価の高い国での滞在を短く調整し空港駐機料を抑える。利用料の高いボーディングブリッジを使わず、バスで駐機場まで行ってタラップを使い徒歩で乗り込む。ただ羽田の場合は就航当初タラップだったが12年現在ボーディングブリッジを使っている。
またエアアジアのA330-300は機内は3-3-3席のLCC仕様のせませまピッチ。デフォルト内装乗客295席を377席の改造機内となっている。777ならエコノミーでも1人にひとつの液晶モニターが皆無。座席前どころか前の壁スクリーンや天井から降りてくるモニターすらない。映画を見たい場合は専用タブレットが有料で配布される。エアアジアのコスト削減を調べていて行き当たった若干味のあるコスト削減。社員の無償航空券の廃止?クルーの靴やバッグの有料化?そんなもののために今まで余分に金払わされていたのか?というか今も大手はその状態。
エアアジアがコスト削減で格安が実現できているのは理解できても、右にあるような東京~沖縄間の距離のフライトをプロモ料金1$(80円)で飛ぶのは少し不思議。プロモとは
sales promotion の略で販売促進用の激安設定の席を言う。ここまで安いといくら物価の安い国とはいえ胡散臭さすら漂う。
これはエアアジアの「話題づくりのための撒き餌」の性格があることは確か。しかし他社と違い、こういう激安席が結構な数出回りわりとたやすく確保できてしまうのがエアアジアの特徴でもある。
この仕組みの背景はわりとシンプル。航空会社のフライトには「ここまでの搭乗率があれば儲けが出る」という採算ラインがある。たとえば通常料金で80%(実際はもっと低い)埋まれば採算ラインに達する場合、残りの余白20%はただで乗せてもそのフライト自体に利益は出る。
エアアジアはこの採算ラインまでの料金を段階的に設けているのも特徴。利用客個別で儲けを出すのでなく一機トータルで利益が出るようにその段階的料金を設定する。裏を返せばエアアジアに大手と変わらない料金で乗る利用者も当然いることになる。混雑時期の直前予約でどうしてもそこにいく必要がある客は高くてもその料金を払う。たとえば下の画像のゴールデンウィーク期間のバリ島往復14万円弱の例など。
LCCの激安プロモは数ヶ月先のフライトが80%埋まる強気の読みで、激安席を数ヶ月前にネットで利用者直で売り出す。もし80%埋まればただで乗せても利益が出るので、上のような料金が実現する。そして同時にこの料金のインパクトが絶大な広告効果も生む。
通常大手ではこの余白を特典航空券や社員用無料航空券にまわしたり、数をさばくことが前提の格安FIXとして市場に出すが、LCCは半年後の採算ラインを先読みして利用客直にネットで激安料金で売り出す。これがLCCのプロモ席だ。
当然80%埋まらなければフライトは赤字になる。また燃油の高騰などの別の不確定要素でこの先取り安売りが裏目に出ることも当然ある。去年11年のエアアジア欧州線などがそれ。どの道利用者にとっては胡散臭さは微塵もないおいしいチケットであることに変わりはない。
アジア線では GO Insure と怪しい名前だった保険が AirAsia Insure と名前を変えて日本路線に復活。羽田線往復プラン30日5060円、7日2180円と日本人料金設定。料金は旅行日数によって変わる。フライトの保険というより旅行期間中のトラブル損失を補償するという旅行保険。ただ保険の中身は損保ジャパンに丸投げ。
内容的には事故での傷害・死亡補償、携行品の損害補償、欠航や遅延による損害補償など。成田や羽田国際線ターミナルのカウンター前で盛んに勧誘している海外旅行保険と大差ない。既に別の海外旅行保険に加入している場合には不要かも。
エアアジア都合のディレイで乗継げなかった場合、この保険がなくても次の便には無料で乗れる。ただ次の便に同日乗継できず、日をまたぐ場合に宿泊費は自分もち。しかしこの保険があると宿泊代その他2万円まで補償される。ロストバゲージは保険がなくとも補償はされるが1kg20$。保険加入しているともう少しまともといった具合。トラブルがなければ無駄になるので、これらのトラブルに遭遇予定の方向け。
クアラルンプール発羽田行は羽田に深夜到着。定刻到着が終電ぎりぎりなのでフライトディレイがあると面倒が増える。 2012年6月13日のクアラルンプールから羽田のエアアジアXを利用する。パースの天候不順理由に1時間30分のフライトディレイ。一見関係なさそうなオーストラリアの天候が羽田線のフライトに影響するのは機材を有効に使いまわししているせい。 結果羽田到着は23時50分で空港出口出る頃は翌日深夜0時回る。その時間に品川までの京急終電はなし。蒲田まで0時26分の最終で行くもそこから先の足がない。定刻到着ならよほどもたつかない限り終電には間に合う。 |
仕方なく京急蒲田まで行って駅前にたむろするタクシー利用。初乗り710円。京急蒲田駅から自宅の目黒まで直線距離で約8km。お任せ最短ルートで深夜割増料金でなんと4040円。先日のジャカルタ~デンパサール(距離約900km)のエアアジアフライトと変わらない料金に唖然。羽田深夜到着便のフライトディレイは高くつく。場所が日本だと空港で朝まで待つとか自宅まで歩くとかの気合が全くでないのはなぜだろう?羽田空港~学芸大学は終電間に合えば電車賃は520円。