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国際キャッシュカード
海外ATMを使うならクレジットカードか国際キャッシュカードか
国際キャッシュカードのデメリット クレジットカードの海外キャッシングとの違い
ネパールの山の中なのでここから2日ほど歩けばカードで現地通貨引き落としができる。
◆国際キャッシュカード 2011年8月12日(金) 前へ 次へ |
表面上同じように見える方法でも結果が全く逆になる場合がある。例えば「インターネット予約」。何でもかんでもネット予約をすれば安くなるわけではない。確かにエアアジアや海外中級以上のホテル予約ならネット予約が安くなるが、現地のツアー会社が催行する10$程の現地発格安ツアーなどはネット予約をすると逆に高くなる。
「海外ATMで使える銀行カードはありますか?」その答は「あります」が正解。題名にもある「国際キャッシュカード」がそれにあたる。ただ「使えるけれどクレジットカードがあるのになんでわざわざそんなものを使うの?」と問い返されそう。しかしそうは言っても「国際キャッシュカード」と「クレジットカード」での海外ATM利用の違いはわかりづらい。どちらを使っても現地ATMから現地通貨を引き出すことはできる。要は損か得かの違いだけ。
2009年4月からタイでのATM利用には日本側銀行の手数料以外に現地のATM手数料が1回の引き落としにつき150B(約400円)加算されるようになった。ネット上にも手数料加算の報告がされている。11年4月私のタイ東部トラート訪問時の現地銀行ATM利用時には元金に150Bが加算されレシートにも刻印されていた。しかし帰国後のチェックではその150Bの加算はされていなかった。 …ネット報告と違う。 |
ベトナム フーコック島ロングビーチのATM . |
私のタイでの09年4月以降の複数回ATM利用で今まで現地ATM手数料150Bが加算されたことはまだ一度もない。利用したカードは国際キャッシュカードではなく、VISA提携の日本のクレジットカード。その他の国、インド、ネパール、カンボジア、ラオスなどでも手数料画面は出てくるが実際に手数料が引かれていることはなかった。ベトナムで3回のキャッシング中、1回だけ2万ドン(80円)の手数料引かれていたがベトナムでは国の法律で事業者側のクレジットカード手数料加算が認められているらしい。
タイ ハジャイのデパート1階のATM
ネパールポカラのATM 現金両替よりレートがいい |
国際キャッシュカードとクレジットカードを比較する場合、クレジットカードの「金利」が極悪非道の欠点のように挙げられるが、利用者にとっていは「金利」だの「手数料」だの「換算レート」だの名称はどうでもよく、1万円をどれだけ多くの現地通貨に替えられるかが問題。耳あたりのいい爽やかな名称が付いていても結果的に受け取る現地通貨の金額が少なければ意味がない。
一方にだけ現地ATM手数料が加算されるということはクレジットカードと国際キャッシュカードでは現地銀行の対応が違っているということ。国際キャッシュカードは決済レート自体にも加算の仕組みがあるようで結局あちこちで追加料金取られまくって最終的な両替レートはボロボロのぼったくりレートになってしまう。
提供側の銀行も大手は国際キャッシュカードからすべて撤退して2011年現在新規発行はしていない。国際キャッシュカードは利用者側にも発行者側にもそれだけ旨みの少ないカードなのだ。なぜだろう?理由は簡単、それは現地ATMが使っている電子マネーシステムがカード発行元の銀行のものでないからだ。
現地通貨引き出しの際に使うATM機器は現地の銀行のATM。日本の銀行ATMは海外にはない。そしてその現地銀行のATMのシステムに直接入り込んでいるのは我々が口座を開設している日本の銀行ではなく、クレジットカード系の会社だ。
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PLUS(プラス)がVISA系、Cirrus(シーラス)がMaster系。国際キャッシュカード発行元の銀行はそのシステムを借りているだけなのだ。国際キャッシュカードの仕組みを調べていくと必ず最後に小さくPLUSかCirrusの文字が出てくる。この辺は銀行側もあまりおおっぴらに知られたくない事情か。
当然ただで借りているわけでなく、それなりの契約があって借りているので国際キャッシュカードを利用すると仲買が増えた状態で遠回りしての利用になる。間に入ったものはそれぞれの利益を確保しようとするので、一般的に遠回りになればなるほど利用者にとっての効率は悪くなる。先のタイの例のように国際キャッシュカードがATM利用料を不当な請求として突っぱねられない理由もこの辺にありそう。
ちなみに国際クレジットカード会社の中でもJCBはCirrusグループに入るが、実質この電子マネーシステムのカヤの外で国際キャッシュカードと同じ扱い。例えばJCBのタイやラオスでのキャッシングでは指定の現地ATM手数料が必要。
PLUSもCirrusも旅行者の利便性を第一に考える発想で成り立っているので、結果、銀行が作るものの2歩も3歩も先の電子マネーシステムが世界中に張り巡らされた。銀行同士の複雑な契約の縛りも手間もなく、クレジットカードのキャッシングという形を使って日本の自分の口座から現地通貨を引き出すことが可能になった。銀行の「信用に問題のある客層は相手にしない」という姿勢が利用者の利便性を犠牲にしていたと見れないこともない。それを言い始めたら途上国にATM網を張り巡らすことなど不可能だ。 |
キャピトルの前で輝くATMの看板 プノンペン |
海外送金を銀行経由でする場合、現地に口座開設が必要で、送金手数料は4,000円。一番まともな郵貯銀行でも2,500円。1万円送金するのにも4,000円がかかる。PLUSかCirrusのシステムを使えば1万円送金にはクレジットカード会社の金利分だけの200円くらいですむ。この辺の整合性もなくなるので大手銀行の国際キャッシュカード撤退はある意味当然か。事業資金ならともかく個人の生活費程度の送金ならクレジットカードを使った海外ATMキャッシングが最も効率がいい。詳細コラムはこちら「海外送金」へ。
この川の中にATMはないが近くの町ソウラハにはATMがある。ネパール チトワン
インド・ネパール国境スノウリのATM、現金両替よりずっと得。 |
かつての海外送金の選択肢は少なかったので殿様商売が許された。しかしいまやシティバンク発行のカードにさえVISAやMasterのマークが付く。結局自行のATM網はあきらめたのか?というよりもはや勝ち目がなくなったと言う方が当たっていそう。
アフリカのATM事情ネットで探すがどんぴしゃ正面から答えているサイトがない。前回2003年ケニヤ、タンザニア訪問の時にクレカは持参していたがATMは使わなかった。高級ホテルはラゴスにもアクラにもあるだろうからそこにATMがないということはないとも思うが。なので近々実録報告予定。
国際キャッシュカードにスマートフォン。一見カッコよさそうな海外旅行の携行品が実はぼられ上手の証になっている。ただ湯水のごとく金を使いまくるセレブな旅にはあてはまらないのであしからず。 |
Booking.com
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びー旅蛇足情報 |
- クレジットカードで海外ATMを使うにはVISAかMasterマークが付いているものが必要。またそのカードのキャッシング枠の確認を。ショッピングのみの選択をしていれば海外ATMは使えない。
- VISAデビットカードも手数料に関しては効率悪いようなので与信審査通過に問題がないならVISAかMasterか、それらと提携のプロパーカードを持った方がよさそう。
- このページでクレジットカードとしているのはVISAかMasterか、それらと提携の国際クレジットカードのこと。JCBはクレジットカード会社でCirrusグループに入っているが実質カヤの外で現地ATM利用には効率が悪い。
- タイでJCBカード利用でのATMキャッシングは150Bの現地ATM手数料がかかる。
- ATMとCDの違い。ATMはAutomated Teller Machineの略で銀行窓口業務もろもろができる。CDはCash Dispenserの略で現金の引き落とししかできない。
- 11年現在150B手数料のタイのATM、09年3月まで手数料は基本なし、銀行によって20B加算だった。
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怪しさ全開のハノイATMも
ATM手数料なく通常請求
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