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海外旅行と安全情報
治安と安全情報にどう対処すべきか
渡航先が危険かどうかの判断
2010年9月 とてものどかなインドの地方都市 インドにはカラカスに行く時の緊張感はない
◆海外旅行と安全情報 2011年7月15日(金) 前へ 次へ |
海外旅行の定番質問で「○○は危険ですか?」という問いがある。インドやベトナムなど日本人観光客がカモになりまくっている国の格安情報を公開し、南米やアフリカ、アラブ圏などのあまり穏やかでない国々の個人旅行情報を扱う私もたびたびそういう質問を聞く。
この質問の回答は難しい。ネット上の旅行掲示板などでこの質問をすると千差万別の回答が帰ってくる。危険だったりそうでなかったり。しかしこれは当然なことだ。そこが危険であるかどうかは人によって変わる。
犯罪発生率などの数値で客観的な比較はできるが、発生率が高ければ必ず被害に遭うわけでもない。危険といわれる渡航先でも渡航できないほど危険かどうかは微妙で旅行者によるといったところか。たとえ犯罪発生率が低くても被害に遭う方は遭う。犯罪発生率が日本の3倍なら確かにそこは日本よりは危険だ。強盗発生率10倍より、殺人事件発生率100倍の方が危ないことも確かだ。
人から質問されての「危険かどうか」の答は自分を基準にした判断になる傾向がある。なのでそれがそのまま他人に当てはまらない。 |
渡航延期勧告エリア タイ深南部ヤラー駅近くで |
ベネズエラのエンジェルフォールにバスで行くには
殺人事件発生率東京の100倍のカラカスが鬼門 |
時速30kmで走る人食いライオンのいるサバンナに行く時、時速40kmで走れる人は逃げ切れるが、時速20kmでしか走れない人は捕まって食べられる。この場合の安全かどうかの答は両者で全く逆になる。
このたとえでの「時速」は基礎体力だったり、英語や現地語習得具合だったり、携行の荷物の量だったり、財布の中身の所持金額だったりする。そしてそれを誰よりもよく知るのは赤の他人ではなくて自分自身。
そこが安全かどうかの質問を他人に聞く時点でその人にとってその渡航先は危険である可能性が高い。掲示板などで返ってくる「安全です」の言葉を鵜呑みにする場合なおさら。安全なのはその人にとってその時に安全だったと解釈するべき。
一方でどういう「時速」の人間か全くわからない状態での回答は最低速度にあわせざるを得ないので、初心者用ガイドブックなどではピントはずれのよい子情報羅列になってしまう。そういうところでは最底辺にあわせて「危険だ」と脅かしておく方が無難なのかも。
渡航前の判断として信頼できる情報は外務省の安全情報。 |
最新情報を得るにはガイドブック等の書籍ではなくてやはりウェブ上での確認が好ましい。邦人救済義務から「余計な所に行って手間をかけてくれるな」という事情があり、読むと行く気がなくなるようなことも書いてあるが、掲載されていることに嘘はないので治安が懸念される国へ行く場合は一通り目を通していた方がいい。
ライオンの走る速さは時速60km 人は100m10秒でも時速36km ンゴロンゴロクレーター
Booking.com
渡航先はすべて危険ということにして「安全は金で買うもの」とビクビクしながら財布に大金詰め込んだカモ状態で海外へ行く。私はこういうことが世界中で日本人観光客がなめられている元凶になっている気がしてならない。そんなに危険なら海外になど行かなければいいのにと人事ながら思う。
自分にとってそこが危険かどうかを決めるのは赤の他人でもガイドブックでもなく自分自身だ。客観的な情報を自分に照らし合わせて自己責任で判断する。外務省の海外安全情報を読んで、最近の旅行者被害の実例を知った上で自分にとってそこが危険かどうかを決める。判断を誤って痛い思いをするのも自分自身。
海外での地元目線の旅は日本でどんなに有名で偉くても、ケンカが強くて無敵でも「あなたが誰」だかは関係ない。ほとんどの旅行者は言葉の不自由なただの外国人でしかない。偉そうにふんぞり返っていては善良な一般の方からは無視される。よってくるのはそういうカモを専門にする小銭目当てのぼったくりマンだけ。日本では立場に任せてごねればすむことでも国によっては銃や刃物が登場する。このスタイルの旅はなまやさしい「自分発見の旅」ではすまなくなる場合もあるのでやはりよい子向けではないか。
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地雷注意 2011年定期的に交戦のあるオスマック周辺 |
時速30kmで走る人食いライオン(実際そんなとろいライオンはいないが)のいるサバンナに行く時、時速40kmで走れる人でも転べば食われる。危険かどうかの判断は難しい。トラブル遭遇は運による所も大きい。賢い人は出遭わないように配慮する。もっと賢い人はそういう場所には初めから行かない。私も同感なのでいまだそういう恐ろしい場所にはまだ行った事がない。
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びー旅蛇足情報 |
- 猛暑の続く東京。最近は水道水もぬるんできた。タイのゲストハウス方式で水シャワー浴びて涼む。今年の夏は去年より余裕あって快適。
- 「危険な地域に行くには安全情報に細心の配慮を」という内容のコラムにしようとしたのになんか画像の選択間違ってしまった感じ。バイアスのかかりまくった暗喩で失礼。
- 「渡航の是非を検討」と「渡航延期勧告」と、どちらが危険かわかりづらい。危険なのは「延期勧告」のほう。外務省安全情報の大まかな輪郭がわかる解説ページはこちら。
- 安全状況が懸念される地域へ行く場合、そこの被害報告を調べるより、快適に旅をされている方の報告の方が参考になるような気はする。インド女子一人旅はこちら。
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