2018年9月28日(水)
2018年6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談。北朝鮮がミサイルを打ちまくっていた1年前には考えられなかった両国関係の激変。和平の進展期待されるも、開催後は「金正恩の一人勝ち、会談は何も成果のない失敗だった」とトランプ氏は各国メディアに酷評された。
しかし今2回目の米朝首脳会談が模索されている。少なくとも「成果がなかった」という評価は間違っていた。先の会談でトランプ氏が金正恩氏に用意した「出口」に向けて両国が動き出した。
2018年9月26日、トランプ氏は訪問先のニューヨークで開いた記者会見で、「もし私が選出されなければ戦争が起きていたはずだ」と述べ、北朝鮮の非核化の期限にはこだわらないとも表明した。自らが歴代大統領が何もできなかった北朝鮮外交を劇的に進展させたことも自賛。11月の中間選挙対抗勢力に対するブラッフィングもあるのだろうが、今後の展開は実際その通りになりつつある。北朝鮮が最後に行ったミサイル実験は2017年9月15日中距離弾道ミサイル火星12。
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「相手に出口を残す」対外外交で日本が見習うべきトランプ手法
北朝鮮を相手にこちらの要求を100%飲まなければ先へ進めないという従来の日本のやり方では、袋小路に入って何も進展がなくなる。北朝鮮の拉致問題も、あえて付け加えるならロシアの北方領土問題もそういうやり方で出口を見失っているのではないか。
「理不尽にごねているのは北朝鮮」ということを承知したうえであえて言うが、日本は安倍氏の国内向け成果アピールにこだわるあまり、相手に出口がなくなる意味のない交渉をしているように見える。現在の日本の交渉術では拒否、対立しか生まない。私はこの袋小路の打開にはトランプ氏の北朝鮮会談のやり方にヒントがあるような気がする。
トランプ氏の北朝鮮外交手法
相手のメンツをつぶさずに出口を用意するやり方だ。第1回会談でトランプ氏は決して金正恩氏の要求をのんでいるのではない。彼に出口を用意しているだけだ。その出口に向かうかどうかはその後の相手次第。そして今、金正恩氏はその出口に向かって歩き出している。米国も北朝鮮も双方とも友好を望んでいる。さらにこれ以上対立しても得るものは少ないと金正恩氏も痛いほどわかっている。トランプ氏も米韓軍事演習に巨額の金を使う必要があるのかと思っているのだ。
そして北朝鮮が友好を望む気持ちはたぶん日本に対しても同じなのだ。ただその形が日本の望む形になっていない。日本はそこをいっさい許容しない姿勢を貫くことで両国友好の未来を失っているのではないか。
「いや、物事には順序というものがある」「甘い」「リスクを伴う」。確かにその通りだ。しかし日本の従来のやり方で袋小路入ってしまうなら、他の出口を探す視点があってもいいのではないか。無茶を言っている相手の過ちや不当な行動も一切許さない「正しく、まっとうな交渉」はただ相手を論破し追い込むだけで交渉は決裂する。そして何も生み出さない。一歩引いて考えれば日本は70年前にはより深刻な被害を先方に与え許容してもらう立場でもあったのだ。
トランプ氏と北朝鮮
トランプ氏の交渉術にヒントがあるような気がする。有利な立場の者が高圧的に期限を区切って「全核施設の書類を提出せよ」「いやなら経済制裁解除はなしだ」と持って行く。確かに正しい交渉だ。全くその通りだ。しかしここにこだわって、本心では友好を望む相手に交渉決裂させる意味はあるのか。トランプ氏はそうさせずに金正恩氏のメンツをつぶさずに出口に向かわせている。
中国にもイランにもベネズエラにも、そして日本の通商問題にも厳しい対応で臨むトランプ氏が、何の策もなく北朝鮮にだけ甘い訳ではない。米財界トップに上りつめる交渉術のプロフェッショナルの計算しつくされた手法だ。おそらく金正恩氏はトランプ氏に感謝の念をもって用意された出口に向かっている。
近く2回目の米朝首脳会談が開催される。
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参考:2018年6月17日掲載びー旅つぶやき 第1回米朝会談2018
17:21 2018/06/17
米朝首脳会談失敗。金正恩1人勝ちのメディアの論調。トランプ大統領が何も成果があげられなかったように酷評されている。あの会談を評価しているのは共産党だけという失敗論調づくりのレトリックは日本らしい。
私はこれまでトランプ氏に対してあまり好印象は持っていなかったが今回の米朝会談で彼に対する見方が変わった。今回の会談のトランプ氏の持って行き方はさすがだと感じた。彼に対する見方の違いは一手先二手先を見るか、十手先二十手を読むかの違いだ。二手先を読むなら確かに今回の会談は何も得るもののない失敗だ。ただトランプ氏はその先を見据えているのだ。
金正恩氏は表面的には強気だが、実際は追い詰められて救いを求めている状況なのではないか。米国優位なのは触れるまでもない。優位な立場の者が一切妥協を許さぬ強気の交渉で金正恩氏にあたって交渉決裂させるのは果たして賢明か?確かに理不尽なことをしているのは北朝鮮側だ。しかし出口が見えず救いを求めている相手に、けしからん一辺倒で、妥協を許さず追い詰めて何の得があるのだろう。80年前の日本のような状況に追い込んでその後日本はどうなったのか。
過去2度も裏切られている。そんなことは当事者の米国がわかり切っていることだ。それでもあえてトランプ氏は会談失敗とたたかれながら金正恩氏に出口を用意したのだ。パンムンジョムで文在寅氏と握手をし、核実験施設爆破映像を流す。以前とは違う流れが起きつつあると見ることは楽観しすぎだろうか。今後北朝鮮の期待する経済制裁解除で本当に救われるのは金正恩氏ではなく、現在虐げられている最下層の北朝鮮の庶民に他ならない。
びー旅つぶやき
22:08 2018/09/24
複数のホテル予約サイトを比較するトリバゴ、ホテルズコンバインドを利用すると海外旅行が格安にできるらしい。中国ではトリバゴ、中国以外ではホテルズコンバインドがホテルの最安表示されるとのこと。
ん?ちょっと待て。私は格安旅行大好きだが両方とも一度も使ったことがないぞ。そもそも宿の予約なんてしていかないし。私の泊まるローカル宿は予約サイトになんて登場しないし。予約サイトに登場する最安宿は外国人を泊める気満々なので地元民を相手にした地元宿より2倍ほど高い。非英語圏のそういう地元宿では英語は通じない難点あるけど。さらにトリップアドバイザーが欧州組には格安情報の主流のようだが、現地で宿の玄関にあのフクロウマークのついている宿は地元宿の3倍はする高級ぼったくり宿だ。なので私は絶対泊まらない。トリップアドバイザーのアドバイスが私の旅の役にたったこともまだ一度もない。というかもともと見ないけど。
私の場合、宿の予約せずに現地の旅行者の泊まる地元宿に泊まって、現地の情報はかの国の旅人や宿の人から聞く。事前の現地情報はざっくりとネットで調べるくらい。ガイドブックなど論外。持つとそれ以下のつまらない旅しかできないので。特にアフリカ、中東、南米行くのに宿の予約なんてまずしない。ハワイや沖縄ではするけど。なぜそんなスタイルの旅をするのか。理由は一つ。そうしたほうが楽しいから。ちなみに私はバックパッカーではない。ちっこい遠足リュック背負って旅をしているので人から見ればそう見えるかもしれないが、少なくとも私自身はそう思っている。
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