コロナ重症化要因の仮説とウィルス共存への道
2021年10月1日(金)
戦う必要のない平和な無菌環境で育つと生存に必要な戦闘能力がなくなっていく。免疫、抵抗力、基本的な生命力が減退していく。そこに急に外部から強敵が来襲するといとも簡単に陥落させられる。コロナのような感染症の場合それは死を意味する。コロナ重症化の分岐点はどこなのか。実際に感染闘病し、自宅療養経験者目線でふと気づいたいくつかの問題点を考察する。
収束に向かうコロナ。仮にコロナが終息したとしてもこれで終わりではない。次に同様の感染症は必ずやってくる。元来増えすぎた生物は減る仕組みができている。コロナ席捲は驕った人類への神の戒めではない。もともと自然界の生物はそうなるようにできている。人間もその例外ではないのだ。
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ガーナ北部の町 ポー マラリアで多くの方がなくなっている地域 なぜか私の訪問時、全然蚊に刺されなかった。私は黄熱病ワクチンのみ接種済み。ちなみにパンタナールでは全身200か所以上刺された。
マラリアはハマダラカにさされることで媒介される原虫性感染症。年間2億人以上が罹患し約50万人が死亡するコロナに負けない世界最大規模の感染症。西アフリカは多剤耐性熱帯熱マラリア原虫の感染が流行している。ちなみにコロナは1年半で2億3000万人が罹患し490万人以上が死亡している。1918年のスペイン風邪の死者は5000万人だったのでコロナ死者はその10分の1以下。
あまり清潔とは言えないゴミだらけのミェイ港 ミャンマー南部
コロナはただの風邪なのか SARS-CoV-2 (COVID-19)
2億3000万人感染、490万人死亡
軽症だった私にとってコロナはただの風邪だった。「若干きつめの」と加えた方がいいかもしれないが。7月下旬にPCR陽性判定受け、自宅療養の闘病は7月20日~8月2日の14日間だったが、37℃以上の熱が出ていたのはトータルで5日ほど。そのうち熱が38℃以上出て寝込んだのは2日だけ。しかもそのひどかった2日間も、午前中は36℃台で、夕方以降38℃の熱出てひっくり返り、朝起きると36℃台に戻るという感じ。熱出るとアセトアミノフェンやロキソプロフェンなどの解熱鎮痛剤を飲むのでその効果もあったとは思うが。
ただ熱は36℃台なのに異様な倦怠感(だるさ)が2週間延々続くことが普通の風邪にはない症状だった。その間は食欲もなくなり食事の量はいつもの3分の1に。味覚はなくならなかったが、いつもはどんなに腹いっぱいでもがっつくチョコやポテチを全く食べようと思わない自分が悲しかった。
また症状が最もひどかった時の特徴が「痰」。異様な量の痰が延々出続ける。小さめのコーヒーカップ3分の1はあるかという量の痰が2時間おきにゲボゲボ出た。たぶんここで白血球軍団が貪食パワー爆裂させてこの量の痰が出ていなかったら、私は重症化への道を進んでいた気がする。
ムザファルプール 北インド
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旅と免疫 SARS-CoV-2 (COVID-19)
この症状。過去にも経験がある。ただ日本ではない。私は海外で死にそうになる闘病経験が複数回ある。いずれも病院に行くことなく寝て直した。自然治癒である。その時の痰は今回のコロナの時以上だった。また日本の風邪で食欲なくなることはこれまで1度もなかったが海外では何回もある。1日1食も食べられず断食状態、下痢も続くのでどんどん体が縮んでいく疑似カヘキシー状態。それは海外で何度も経験している。
その時の苦しさは今回のコロナの比ではなかった。熱でふらついて立ち上がれない。嘔吐もする。30分おきの下痢もする。米のとぎ汁便(コレラの症状)が出たことも。どれも今回のコロナ症状をはるかにしのぐ強烈なものだった。
病はコレラ、赤痢、マラリア?原因不明の現地の常在細菌、常在ウィルスにやられての症状だったかもしれない。どれも15年以上前なので今となっては知る由もない。ただ渡航を繰り返しているうちにぶっ倒れて何日も起き上がれなくなることは自然となくなった。細菌やウイルスとの度重なる過激な戦闘でそれなりの抵抗力がついたものと思われる。
ワガドゥグ(ブルキナファソ)のバスターミナル前の風景
子供にとってコロナはただの風邪
日本の20歳未満の感染者は割合も少なく、死亡例もほぼない。コロナ受容体であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2の発現度が低いため。15歳未満ではコロナよりもインフルエンザや肺炎の方が遥かに重症化しやすい。さらに非常に感染力が強いRSウイルスなどより注意すべき既存の感染症がある。
コロナはただの風邪か?答えは「人による」。この質問に誰にでも当てはまる普遍的な答えはない。免疫疾患のある高齢者には決してただの風邪ではなく死に至る深刻な感染症だが、基礎疾患のない健康な10代の若者にはただの風邪。なので年配重傷者の集中治療室での苦しい体験を、感染者の8割占める軽症者や未感染者に「いかに恐ろしい病気か」として語るのはあまり意味のないことなのだ。1年半で2億3000万人が罹患し490万人以上が死亡している背景を考えると「ただの風邪」とは言えない側面はあるのだけれど。
旅と免疫 SARS-CoV-2
コロナをしのぐ強烈細菌、ウィルス
でここでふと思った。私の年齢で、高血圧と高脂血症、メタボのマイナス要因ありながら、コロナが軽症ですんで後遺症もなかったのはなぜなのか。あいつら極悪感染症との闘病経験があったからなのではないのかと。あの痰の出かたは渡航先で経験した熱病の時ほどではなかった。コロナの倦怠感と言ってもかつて現地でのあの闘病の死にそうな状態に比べればつらさは4分の1だ。私の白血球戦闘能力はそれらで強烈に鍛えられていたのかもしれない。人工呼吸器やECMO装着への道を回避できたのは渡航先での過激な闘病経験か?
抵抗力や免疫はある程度常在細菌や常在ウィルスと戦闘繰り広げないと弱くなってしまうらしい。熱帯地方の強烈な病原菌との死闘はその能力を高めてくれる可能性はありそうだ。人類は細菌や寄生虫、ウイルスなど微生物との闘いのなかで強固な免疫力を築いてきたのだ。その戦いを否定する日本の行き過ぎた滅菌環境には負の側面がある。バリ島で現地の方は何ともないのに、日本人観光客だけが集団で赤痢にかかるのはそれなりの理由があるのだと思う。
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白血球くんは、①マクロファージ、②リンパ球(B細胞、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞)、③顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、の3つの免疫部隊で構成される。白血球くんが病原体を食べることを専門用語で貪食(どんしょく:貪欲にむさぼり食う)という。きゃー、こわい。
2007年頃のプノンペン。今は開発進んでだいぶ変わった。
旅と免疫
コロナ重症化分岐はどこに
自宅療養で取り残されて最後に頼れるのは自分だけ。あたりまえなのだが何とかなる、誰かが助けてくれると知らずに流されてしまう傾向あり。その甘さが瓦解した。救急車も病院も自分を救ってはくれない。以下の数字がはっきりと示している。
自宅療養で重症化して死亡した方は2021年初めから9月15日まで122人。しかしこれは医療態勢も救急搬送態勢も悪くない。
8月下旬感染ピーク時、連日4000人の陽性者確認。その時自宅療養者は2万人、入院先が決まらない人1万人で合計3万人。そんな数で誰が重症化するのかわからない。新規感染者の約0.6%が重症化と数字出てるが、それなら180人場所不確定で重傷者が出る。それを完璧に拾い上げることなど不可能だ。
そういう状況下で最後に頼れるのは自分自身なのだ。薬でも医療体制でもない。コロナに打ち勝つ生命力、生物が本来持つ抵抗力、防御反応なのだ。特にワクチンのきかない変異株に対抗するにはそれしか対抗手段はない。そしてここが本来のコロナの重症化分岐点。言い方変えるとそれを持たない人々は感染発病した場合、淘汰される運命にあるといっていい。
ゴミの中の食えそうなもん物色中。ポイペト
コロナ重症化分岐点
コロナのずる賢い生存戦略
コロナ重症化の要因としては、老齢、基礎疾患の有無、肥満、飲酒喫煙習慣、高血圧などがあげられている。また日本と米国など、人種民族的な遺伝形質の差によってもコロナの死者の数には大きな差が出ている。
コロナは感染発病しても8割は軽症ですむ。そうは言え3億2000万人が感染し500万人近い人が死んでいる感染症はこれまでにない規模だ。コロナはずる賢い生存戦略をとっている。隙間を狙って人間世界に巧妙に侵入している。今後の集団免疫収束はコロナの完全撲滅でなく、共存の形になる。ちなみにスペイン風邪のウイルスの子孫は100年経ってもまだ地球上に生き残っている(1957年のアジアインフルエンザ、2009年インフルエンザが子孫とされる)。かつてのような死者が出ないのは共存に向かう変異のため。宿主と共存できない変異株は淘汰されるようにできている。
今後コロナ過ぎても、新しい感染症がそう遠くない未来に人類を襲う。1918年のスペイン風邪、2002年11月のSARS、2012年9月のMERSのように。そこで人類の最終的な武器となるのは人間の生態的防御反応。自然免疫系の反応としてマクロファージや好中球、キラーT細胞などなのだ。そこでワクチンに頼るスパイクタンパク質中和抗体などは脇役に過ぎない。
荷台の後ろにしがみついてこの後ろにつくと土ぼこりをたくさん吸い込む。で延々咳が出る。現地常在細菌にも耐性ないので熱病にもなる。
ウィルスで滅亡した種、民族
ネアンデルタール人、インカ帝国、アマゾン奥地原住民
インカ帝国など人類の歴史上、ウィルスに淘汰させられたと推定される例はいくつかある。ネアンデルタール人の人類との接触でのウィルス滅亡説(英ケンブリッジ大学の研究者の学会報告)も広く知られる。
現代においても文明との接触を長期間避けて生活してきたアマゾン奥地の原住民が外部との接触で、我々にとって無毒の常在ウィルスに感染して次々に死んでいく例があるという。
またインド洋ベンガル湾のアンダマンニコバル諸島にも外界との接触を拒む先住民の島が複数ある。彼らとの接触をインド政府が禁じているのは、先住民が接触を拒んでいること以上に、接触による感染症伝搬で先住民が壊滅する危惧があるためという。我々にとっては何でもないウィルスや細菌に免疫を獲得できてない先住民が感染し重症化するおそれがあるためだ。
人類と微生物との戦いはあらゆる場所で現在進行中なのだ。
海外旅の副次的メリット
人類誕生は700万年前。その後ずっと細菌や寄生虫、ウイルスなど病原性微生物にさらされながら進化してきた。そしてやつらとの熾烈な闘いと共存で強固な免疫力を築いてきた。現在(厳密にはコロナ前)日本での日常生活での行き過ぎた清潔、消毒が人間本来のウィルスと戦う力を弱めてしまう状況は、その流れに逆行する行為なのだ。免疫や抵抗力は鍛えないと衰える。
もちろんこれはコロナ終息後の日常生活での話。コロナ渦中で感染拡大が深刻な場合のコロナウィルスに対する消毒は別の話なので念のため。
海外は未知の現地常在細菌、常在ウィルスの宝庫。その暴露で抵抗力を鍛える絶好の機会ともいえる。これは戦いというより共存と行った方が的確か。ただ人によっては深刻な感染症になって帰国後入院(病によっては強制隔離も)となる場合もあるので、すべての人に勧められる免疫獲得方法ではないのが難点か。とはいえコロナや今後の深刻な感染症の重症化を免れる生命力を獲得できるメリットも大きいとは思うが。「かわいい子には旅をさせろ」には深い意味があったのかもしれない。
プレイク ベトナム
びー旅つぶやき 日々の日記
22:04 2021/09/27
今年の11月には例年のように出国できるだろうと予想していたのにまだ無理っぽい雰囲気。日本は集団免疫獲得後半に入ってコロナ収束の出口は見えつつあるが、海外へ自由に渡航できる状態にはまだほど遠い。タイもインドネシアもベトナムもまだまだ深刻な状況。また日本を重度危険汚染国指定している国は少なくない。タイなどはワクチンパスポートあっても一般旅行者は入国難しい。何よりLCC格安フライト復活しなければ行きようがない。足元見た高額フライトで現地の1泊6000円のホテルに自費で2週間隔離されてまで行く意味も感じない。代替案の沖縄あるが、沖縄の冬は寒くて海入れず、しかもずっと曇りでテンション低いし。
旅には出られないが毎日の飯がうまい。今は何となくそれだけでありがたい。メタボ進むけど。先日のコロナ重症化しなくてよかった。後遺症なくてよかった。飯がまずくて食えなくなるのはそれだけで悲しい。海外では現地の病にぶっ倒れて起き上がれなくなることは何度もあったが、日本国内でそうなるのは今回のコロナが初めてか。でも病状のきつさは海外で経験した得体のしれない熱病のほうがずっときつかったけど。私のコロナ発病が軽症ですんだのはその辺で免疫や抵抗力が鍛えられてきたせいかもしれない。
五輪でテレビ離れの習慣つきかけたが、鬼滅で呼び戻された。