コロナ明けの海外旅行を考える
2021年2月1日(月)
海外旅行に興味がない。行こうと思わない。その余裕もない。金銭的にも、時間的にも。そもそも何が楽しいのかわからない。右も左もわからない知らない土地で言葉が通じないなんてありえない。治安が不安。飛行機自体が生理的に嫌い。コロナで行きたくても行けなくなった海外旅行。しかし自分には全く関係ない。
昨今、そういう人たちが増えた。特に若い世代の海外渡航が減っているらしい。
海外旅行がつまらないと言っている方に「行くべきだ」というほど不毛なことはない。嫌いなものを上から目線で好きになれと命令されているに等しい。旅行業者が売り上げのために「行こう」と言っている場合は別だが。
興味がないなら行かなければいい。私は旅行会社の人間ではないので他人が行かなくても何の支障もない。今更ここでそういう方々に海外旅の素晴らしさのたぐいを語るつもりはない。行かないともったいないとか、世界観が変わるとか、自分探しとか頭の痛い陳腐な押し付けをする気もない。
私は海外旅行好きじゃない。そのはるか先の中毒者だ。国内旅行には全く興味がなく、日本国内では引きこもりの偏屈な私がなぜそうなったのかはそれなりに理由がある。興味がないなら行かなければいい…で終わると寂しいので、少し彫り込んだ私的考察。何のかんの言ってやはり海外の旅には行ける時に行っておいた方がいい。それもできるだけ若いうちに。なぜなのか。
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定番のマニュアル通りの正しいガイドブック確認旅が「つまらない」を生む。海外旅は感動センサーが敏感な若いうちに行った方が得だ。
自殺大国 日本の闇
2020年コロナ死者の4倍が自殺する国 日本
先進国中、日本は自殺の多い国との統計が出ている。一時年間3万人を超えていた(2003年3万4427人)が、コロナ前までのここ数年減少。2020年日本の年間自殺者2万919人(警察庁統計)。それでも「大変なことになる」と大騒ぎのコロナ死者(2021年1月31日時点、約1年で総数5,597人)の約4倍が自殺でなくなっているのだ。しかもなくなっているのは70代以上の高齢者ではなく、働き盛りや若者世代。統計とり始めて以来最低だった2019年2万169人からコロナの混乱があってもなぜか2020年に急増することはなかった。
2003年に3万4427人(2020年コロナ死者の7倍)が自殺でなくなっている。ここから浮かび上がるのは、労働効率先進国最悪の日本には、もともとヒエラルキー下層労働者を奴隷として扱い、格差社会の負け組を自己責任の名のもとに自殺まで追い込む闇の部分が存在している。人間的な生活ができるのは一部の既得権益者だけ。非正規、低賃金でブラック環境で働くヒエラルキー下層労働者の合法的な奴隷制度が静かに進行していたとも言える。
ワイキキビーチ
パルミラ遺跡 シリア
日本の労働生産性 先進国最下位の闇から生まれる奴隷制
日本の奴隷労働環境のわかりやすい例として外国人技能実習生失踪問題がある。日本人なら誰もやらないブラック職場で、その環境に耐えられず逃げ出す実習生が2018年1年間で9,052人。目を疑う数字だ。日本の最下層労働環境がいかに非人間的な環境にあるかを示している。そこでの優秀な人材とは、無駄の多い単純作業をミスなく猛烈なスピードでこなし、長時間労働もサービス残業も笑顔でやる。
どんなに罵倒叱責してもやめない(失踪しない)人材をいう。得られる技能は忍耐力。しかしそんな環境で過労死するまで働く慣習は彼らにはない。逃げ出すしか道はないのだ。そして今コロナで倒産相次ぎ、職を失ってそこに転落する可能性は、日本人にもありうる状況になった。
最下層でなくとも日本には自分より下のヒエラルキーの人間を、徹底的にたたいて搾取する風土がある。なので最上位にいる既得権益者以外は誰もが追い込まれる構図になっている。またヒエラルキーに関係なく、SNSが原因で自殺に追い込まれる例も珍しくなくなった。労働生産性主要先進国最下位で長時間労働が常態化。日本が幸福度の低い国とされるのはそれなり理由があるのだ。
ウユニ塩湖 ボリビア
スーダン上空 サハラ砂漠
追い込まれた自分を救うのは…
そんな日本の環境では、よほど恵まれている人以外、「なにもいいことがない。生きる意味がわからない」と死への選択を考えてしまうことが少なからず遭遇する。死なずに済む、自分を守るすべを知っておくべきなのだ。
生きる意味がわからないと心の底から絶望して死のうとしている人は誰にも引き留められない。それを最後に引き留められるのは自分だけ。
引き留められる自分とは何か。それは「生きているといいことあるんだな」ということを実感できた過去の体験が作り上げる自分なのだ。そういう経験を一度でもしているかどうか。一度でもその経験をしていれば自ら命を絶つという選択から自分自身を引き戻す力になる。
生への執着はメンタルを強くするとかでなく、心が震えるような、頭をガツンと一発殴られたような幸福体験をすることで生まれる。凡人で偏屈な私にはそれを日本の日常生活で見つけることができなかった。
ガーナ アクラ ジェームズタウン奴隷海岸
マニャガハ島 サイパン
チュニガンクリフ チュニガン島 インドネシア
ガツンと一発の幸福体験
消える幸せと消えない幸せ
若いころに、もっと具体的に言えば、追いつめられて死を考える状態になる前に、そのガツンと一発の幸福体験をできるだけ多くしておくことが自分で自分の身を守る最強の方法なのだ。見つけるきっかけは人それぞれ。スポーツだったり、音楽だったり、ゲームだったり、恋愛だったり。ただのメタボのおっさんの私の場合はそれがたまたま海外の旅だっただけ。年を取るとあらゆる感度が鈍るので、予定調和型の旅では楽しめなくなる傾向も強い。そうなる前、感性が鋭いうちにガツンと一発の体験しておくとその記憶は一生消えない。
今の幸せは壊せる。消える。病気になるとか、事故にあうとか。自分でなくとも最愛の人が事故で亡くなるとか。どっかからミサイルが飛んできて自分の町が焼野原になったら今の幸せは一瞬で消えてなくなる。
しかしどこの誰にも消せはしない幸せってある。心の中にある体験した幸せだ。楽しかった記憶は誰にも消せない。どんな強いやつにも。どんな悪いやつにも。どんな恐ろしい病にも。そしてその消えない幸せは金出せばいつでも手に入るたぐいのものではない。コロナがそれを再確認させてくれた。また体験インパクトの深度も金額に比例しない。300万円のファーストクラスフライトの1泊30万円スイートの旅が、3万円LCC
フライト、1泊1000円地元宿の旅よりつまらないことが往々にしてある。
そういうつまらない旅をつまらないと感じるのは自然なことだ。ただ旅にはそうではない旅があることもまぎれもない事実だ。実際そういう強烈インパクト旅のせいで私は海外旅行中毒者になってしまっている。
海外の旅はつまらなくない。
そして海外の旅は、時間や、費用や、言葉のハードルを越えて行く価値もたぶんある。この先の人生で死にたくなった時に、「死ぬな」と引き留めてくれるもう一人の自分に会えるかもしれないから。
私はコロナが明けたらまた海の向こうへ旅に出る。
コロナ明け海外旅行実用編
海外旅行を楽しくするには
費用がかかり、ガイドブックの中身を確認するだけの旅になりがちな旅行会社の既成ツアーで海外に行くのではなく、個人手配で海外に行く方がつまらなくない旅になる可能性が高い。ガイドブックを持たない。既成ツアーを利用しない。それだけで旅の内容はかなり変わる。今はやり方次第で国内旅行より安く海外へ行ける。方法はネットにたくさん出回っている。日本は物価の高い方の国なので現地物価は日本より安い場合が多い。自由のない拘束ツアーに高い金払ってつまらない旅になるのは理不尽なことだと私も思う。
LCCやFIX航空券で激安に現地に行っても、現地のハイテンションの海や山は旅人を差別しない。日本ではどんな快晴時にも見ることのない、南国の真っ青な空はそれを見に行くだけでも行く価値があると個人的には思う。
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