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2004年の11月、わたしはヨルダンのペトラ遺跡に向かう地元のローカルバスの中で一人旅をする日本人旅行者と出会った。

イラク発のあまり芳しくないニュースが流れていた時期でもあって、イラクと国境を接するヨルダンには日本人旅行者…というより旅行者自体見かけない時期だった。

その日本人旅行者が若いバックパッカーなら私の記憶にそれほど強くは残らなかった気はする。初めて彼を見かけた時にかなり違和感を覚えた。どう見ても彼はヨルダンなどという国を一人旅しているタイプの旅人に見えなかった。彼は初老という年齢をもうかなり過ぎている熟年の紳士、「おじいさん」だったのだ。

失礼ながらヨルダンの遺跡をめぐって一人旅するようには見えず、日本の自分の住む町内からすら出ることのない風貌に見えた。

二人とも同じバスで同じ場所へ向かっていたのでどちらからともなく話しかけてしばし旅の道連れとなる。

彼の話によると、彼の年は今年で70歳。仕事も定年を迎え子供もとうに独立していて、昔から好きだった旅を定年後の有り余る時間を使って思う存分満喫しているとのことだった。ヨーロッパなど安全な場所には奥さん同伴で行かれるそうで、今回のようなあまり安全とはいえない旅にはひとりで遺跡をめぐって放浪するとのこと。

さらに意外だったのはその旅のスタイルだった。それは日本からの往復の航空券だけを旅行会社を通して安く買って、ホテルの予約などは一切せずに、すべて現地に入ってからガイドブックなどを頼りに自力で見つけ出すという若者バックパッカーと全く同じやり方だった。「若い頃からずっと働きづめの日々だったが、定年を迎えてからはその分自由に思いっきり旅をしたい。世界にはまだ回っていないところがまだ山ほどあるしね…」

そう話す彼はその実年齢よりは十歳は若く見えた。




先進諸国や一部の地域を除いて海外の物価は日本のそれよりかなり安い。海外旅行はお金がかかるものというあまり根拠のない思い込みから、地元の人たちが百円で買っているものを日本人観光客が千円、二千円で買わされているケースはとても多い。

またエジプトの観光地にてこんな話も聞いた。
「昔の日本人観光客はお金持ちが多くて商売がやりやすかった。最近はあまりお金を使わない人が多くて彼らを相手にしても昔のように儲からない」
これはこの言葉通りの意味もないことはないであろうが、実態は少し違う。旅慣れた賢い旅行者が増えたことを意味しているのだ。百円の価値しかないものを相手にいいように言いくるめられて千円で買ったからといってその人をお金持ちとは言わない。最近の日本人旅行者は海外で百円のものを百円で買うようになってきたということなのだ。

海外に出れば、一部の地域を除いて、庶民の中に入って彼らと同じように生活をするのなら日本とは比べ物にならないくらい物価は安い。本来そういった物価の安い海外での生活はそんなにお金のかかるものではないはずである。だが旅行者として必ずしもその安い物価の恩恵を受けられるとは限らない。そういった地域であってもそこが世界的に有名な観光地であった場合、必ず地元料金と、観光客料金といった驚くほどかけ離れた二つの料金が設定されている。

そして旅行会社の主催するパック旅行で訪れたならほぼ間違いなくすべて高いほうの観光客料金での支払いとなってしまう。パック旅行は主催する旅行会社の利益が優先されるため、ホテルにせよ食事にせよ地元料金設定の激安エリアには近づくことすらない。

海外旅行をするすべての人が高級ホテルの設備とサービスを求めているわけでもないだろう。また地元料金で安く宿泊したからといってその観光地の海や山がその人を差別することも多分ない。

逆にその土地の本当の味わい、雰囲気といったものは高級ホテルではなく、地元料金の安ホテルや定食屋のほうが味わうことができるような気もする。


先に紹介したヨルダンで出会った老紳士はあまり旅がしやすいとはいえないその地で、私が全く知らないような遺跡まで精力的に回っていた。いつものように行き当たりばったりのゆるい旅をしていた私は何気なく言った。

「僕の場合は有名な観光地であっても行ったり行かなかったりしますね。気分が乗らなかったりすればどんなに有名でも素通りすることもあります。次の機会ということで…」

それに対して彼は笑顔でこういった。

「私はあなたがうらやましい。あなたには次の機会ってものがある。だけどそう先のない私にはもうおそらく次はない。ここで見過ごしたら多分、もうこの目で見ることはないんです」

遺跡の近くの町に着いた時、疲れていたので、私は宿でゆっくりすることを決め、彼は同じ宿にチェックインするもそのまま休む間もなく遺跡へと向かった。そして私は翌日、彼より一日遅れて遺跡を回った。遺跡から帰ってきた時、彼はすでに丁重な別れの挨拶の手紙を残して次の遺跡へと発っていた。

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