インバウンド 訪日外国人客と日本の観光資源

インバウンド 訪日外国人客と日本の観光資源

Inbound tourists to Japan

訪日インバウンド 訪日外国人観光客

渋谷交差点

日本観光立国の思い違いJapan Tourism Tactics

通天閣2022年5月9日 (月)

2017年訪日インバウンド(訪日外国人観光客)は2869万人と過去最高になる。その消費額初の4兆円超え。消費額全体の約4割が中国人観光客。以下台湾、韓国、香港とアジア勢が続く。この順位は訪問客数も同じ。世界中にたくさんいる欧米観光客はなぜか上位に上がって来ない。欧米などのその他のエリアからの訪日インバウンドは約300万人。この数字は中国やタイにも負けているらしい。

それを裏付けるように先日「日本は退屈な国」との欧米人アンケート調査結果が報告される。観光庁が、ドイツ、英国、フランス、米国、カナダ、オーストラリアの6ヵ国を対象に、海外旅行に関するアンケート調査を実施。結果を要約すると、「日本には富士山、桜、寺があるくらいで、長期間滞在する旅行先としては退屈…」と思われているとのこと。そしてこの結果に観光庁は「衝撃」を受けているらしい。え?と思う。

極めて個人的な意見と前置きして、この結果は「当然」と思う。私にはこの意味がよくわかる。なんでこの結果に衝撃受けるのかそっちの方が意味わからん。目の肥えた欧州組旅行者ほど日本はつまらない国として映るのだ。


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このページは びー旅ロード209. 訪日インバウンド観光客


札幌 旧庁舎前公園のイチョウ並木

 

インバウンド 訪日外国人客と日本の観光資源

阿波連ビーチ
私は常々時間があると海外へ旅に出る。国内旅行の選択肢は全くない。時間がもったいないと感じるからだ。高額かけてインパクトのないつまらない旅をしたくない。

私が日本人であることを差し引いても日本の観光地には観光地としての魅力がないからなのだ。写真右は沖縄、渡嘉敷島の阿波連ビーチ。

2018年現在、LCCの躍進で場所によっては国内へ行くより安く海外へ行ける。たいてい現地に着いてからの物価も安い。言葉に対する懸念がない(欧米観光客は英語を話す)なら旅行に出るなら日本以外の方がずっと楽しい思いができる。ならばそういう私はなぜ欧米観光客と同じく日本がつまらないと感じるのか。



那覇 ゆいレール 沖縄の離島ビーチにはそれなりなりテンションあるが、それでも世界のびっくりビーチにはとてもかなわない。


欧米インバウンド客に日本がつまらない理由

バスタ新宿

日本観光資源の弱点

この理由は大きく2つある。

①観光地の絶対的インパクト
②旅のコストパフォーマンス

①観光地の絶対的インパクト
一言に簡潔にいうと「絶対的なキラキラ感に欠ける」ということ。例を挙げると軽井沢よりシャモニー、白馬よりツェルマット、富士山よりエベレスト。江の島よりグアム、伊豆白浜よりハワイ、沖縄よりモルディブ。奈良や鎌倉の寺院よりアンコールワット。サファリパークよりセレンゲティ。上野動物園より成都パンダ基地。現地で得られるキラキラ感と日本国内旅行では勝負にならない。日本人が思っているほど日本の観光資源の絶対的インパクトは強くないのだ。

私は2013年11月、知床旅行を検討したことがある。しかし当時は宿もフライトも高くヒマラヤに行くより高くつきそうだったので結局ヒマラヤ(ネパール)に行った。ヒマラヤより高額出してまで知床旅行をしようとは思わなかった。日本がつまらないの背景にはたぶんこういうことも隠れている。その時のヒマラヤ旅行の記録はヒマラヤインパクトとしてこのサイトで公開している。

エンジェルフォールやウユニ塩湖やリオのカーニバルで得られる衝撃は日本のあまたある世界遺産で得られることはおそらくない。それはたぶん行ったものにしかわからない。欧米旅行者は中国人観光客と違ってそういう観光地に行きまくって目が肥えているのだ。さらに日本人旅行者と違って世界遺産パワーも通じない。そこに観光庁の先の「なぜの衝撃」の入り込む余地はない。勝負にならないので真向正面から勝負すること自体が間違っているのだ。



桜並木

日本観光立国の思い違い 旅のコストパフォーマンス

私は一方でハイテンション旅とは対極のゆる旅も大好きだ。観光資源など何もないタイやカンボジアの地方都市に「ただ滞在するだけ」の快感も知っている。上にあげた観光資源のインパクトなどなくても旅は楽しいのだ。

日本においてその障害となっているのが②の「旅のコストパフォーマンス」だ。欧州組は日本人と違って30代で一般企業勤めで2か月の長期休暇は普通のこと。なので夫婦子連れで現地に長期滞在のような旅行パターンも少なくない。そうなればなるほど1日にかかる旅の費用が問題になってくる。1泊1万円のホテルも1泊なら問題ないが、60泊60万円ならたいてい大きな問題になる。タイなら1泊600円、ネパールの山奥なら1泊50円からのコスパのいい地元個室宿があるので、仮にネパール最安宿なら60日3000円と200分の1のホテル代ですむ。

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新宿西口


花見客経済効果とオリエンタリズムの付加価値

札幌時計台
物価が高いということを考慮しても、日本に200倍もの価値があるかといえばとてもそうは思えない。冬寒いし、梅雨あるし、タクシーもバスも電車も新幹線も高い。Wi-Fi使えない、民泊だめ、レンタカーだめ(厳密にはダメではないが、他国に比べて制約が多い)。エスカレーター右側あけろなど初訪問の外国人に対するわかりづらい習慣も多い。

日本人には潜在的に村社会での排他性が根付いている。加えて町中でびっくりするほど英語が通じない。東京ディズニーランドやUSJの入場料があればタイでぼったくられてもたぶん10倍以上楽しめる。

インバウンド向けに伝統体験やドローン空撮PRもいいが、山谷や西成や横浜寿町の宿に外国人旅行者が集まる意味を考えたほうがいいのではないか。日本の旅は金をかけないとみすぼらしい旅になる傾向がある。LCCで日本に憧れて来るインバウンド客にそれでは悲しすぎる。際限なく金を落としてくれる中国人の旅行スタイルもそのうち現状の浪費型スタイルではなくなるとも思う。





インバウンド誘致のヒント 付加価値オリエンタリズム

桜 それではどうすれば目の肥えた欧州組観光客を呼ぶことができるのか。

2018年の花見客の経済効果が話題になった。ネットで拡散した口コミで日本の花見にあわせた海外からのインバウンド観光が昨今盛り上がっているらしい。私は個人的には花見に全く興味がない。きれいだとは思うが寒い中木の下で飲み食いする気には到底ならない。しかし一部の外国人にはなぜかこの寒い中地べたに座って酒を飲む行為が魅力的に映るらしい。ここに日本の欧米インバウンド誘致のヒントがあるのではないか。

古くから西洋文化には日本をはじめとする東洋文化、思想に深い関心を示す傾向「オリエンタリズム」があり、彼らにとっての東洋のラスボス、謎に包まれた最終到達点が「日本」のような構図になっている。そこに必要以上(私はそう思う)に付加価値がついて「日本に行ってみたい」となっているのだ。ゴールドコーストの安宿で知り合ったオージーの若者は日本に忍者が今もいると固く信じ、タイであったロシア人の若者は、秋葉原に行けばジブリアニメの世界が広がっている素晴らしい国と勝手に誤解してくれて憧れてくれているのだ。

先の「日本はつまらない」アンケートは、彼らがつまらないと感じる、つまり日本に一度以上訪問したことのある旅行者からのアンケートなのだ。興味があって行ったけど、思ったより金ばかりかかってつまらなかったということなのだと推測する。オリエンタリズム付加価値が消滅してしまっている。私には消滅させないものが花見だけではないような気はなんとなくする。

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びー旅つぶやき

14:02 2018/03/29

ANAの羽田~沖縄8600円。那覇発宮古4600円、石垣5100円。LCCプロモのように旅割+タイムセール限定のようだが以前からは考えられない料金。かつて沖縄離島路線は「独占して高値維持」の典型だったのに。殿様脱却?4月1日からは国内線機内Wi-Fiも無料になる。あたりまえの状態になっただけとは思うが。発着空港が羽田なので大手は便利だ。

気づかなかったが女満別路線も羽田から直行便が頻発している。JALで1日3便、ANA(ADO運行)1日2便。早割だと1万円台。日本の国内線環境がまともになってきた。LCC効果か。一方でエアアジア関空ホノルル往復燃油空港税込26010円見つける。やっぱ本家は強烈。3歩先を行く。3月25日から成田~バンコク1日3便に増便してるし。日本の空にも利用者目線の健全な競争が生まれつつある。大丈夫か北海道新幹線。

佐川氏国会証人喚問で首相や昭恵氏、政治家の改ざんに関与なかったってそんな予想通りのわかりきったこと証言してどうする。問題の焦点は改ざんじゃない。その先の特殊な既得権益者だけが潤う今のいびつな態勢だ。だいたい土地取引自体に関与がなかったことが納得できる肝心なことをすべて証言拒否した上で「関与がなかった」とは我々国民をばかにしている。今のこの状態じゃ誰も納得しない。外交パフォーマンスでごまかそうとするいつもの手段も逆に油を注ぐ。支持率回復しないのは当然だ。


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